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資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

1. 現状分析

当社は単に損益計算書の売上や利益水準を意識するだけでなく、バランスシートをベースとする資本コストや資本収益性を重視した経営に努めています。

例えば、当社は、投資案件の取り上げにあたっては、投下した資金に対する収益力を表すROIC(投下資本利益率)が、資本コストと有利子負債の加重平均コストであるWACC(加重平均資本コスト)を、どれだけ上回るかを重要な判断基準としております。また、政策保有株式を保有する経済合理性についても、同様の方法により定期的に取締役会で検証を行っております。

当社の資本コストは、10年国債利回りを用いた「リスクフリーレート」、当社株式と株式市場全体の変動率を対比した「β値」、さらにTOPIX運用利回りを基準にした株式市場全体の「期待収益率」、その他を用いて算出しており、前述の通り、投資判断の基準として、また、事業が越えなければならないハードルレートとして認識しています。

また、当社のPBRは現状2.1倍程度ですが、一層の向上に向け、エイクイティスプレッドの拡大、即ちROEを重視した経営の推進に努めています。

2. 計画の策定

当社は上記の通り、資本コストや資本収益性を意識した経営に努めておりますが、これを当社の各事業において着実に推進するため、当社の中期経営計画の中にこれを具現化し、各戦略の遂行に全社を挙げて取り組んでおります。

  • 「営業戦略」の一つに「王将スタンダードの進化発展」を掲げ、料理・接客・店舗の価値をさらに高めることを目標としています。KPIには当社が全てのステークホルダーとの共栄の起点と考える従業員の満足度調査(ES)を採用し、ESの評点の継続的な上昇を目指しています。
  • 「店舗開発戦略」では、デリバリー&テイクアウトを主体とした新業態「ジョイ・ナーホ」を始めとした新規出店を加速させることとし、新規出店において適切な投資判断ができるように、新店の売上予測の精度向上に向けたKPIを設定しております。
  • 「販促戦略」の目標の一つである「ロイヤルカスタマーの獲得」のために実施する全店キャンペーンでは、KPIにROI(投資収益率)を設定し、投資額に対して最大限の効果を上げることを目指しています。
  • 当社が従来から注力している「人材育成戦略」では、社内研修を中心とした教育体制を再構築して従業員の育成強化を図るなど、引続き人的資本への投資を積極的に進め、KPIに「営業戦略」同様にESの評点水準を設定することで、ESの継続的な上昇を目指します。
  • 「環境整備戦略」ではサステナビリティーを取り上げ、気候変動の問題に関して脱炭素社会の実現を目指した取組みを進めています。2030年に向けたフォアキャスティングと2050年に向けたバックキャスティングの両面に亘るGHG排出量削減のための施策を立案し、各施策を遂行した場合のGHG排出量削減率をKPIとして設定しています。さらに、TCFD提言の枠組みに沿って、施策遂行の成果を積極的に開示する方針です。
  • 「資産及び資本効率の向上」を目標とした「資本戦略」では、投資活動の積極化や資本支出の適切なコントロールを推進するとともに、個々の投資が当社の資本コストを上回る投資効果を得られるように努めることで、KPIであるROICやPBRの向上を図ります。

3. 取組みの実行

当期(2024年3月期)は、前述の中期経営計画(計画期間3年間)の最終年度に当たり、これまで概ね順調に進捗しています。当期において各目標のKPIの達成に全力を挙げるとともに、今後を見据えた戦略にも取り組むことで、来期からの新たな中期経営計画への円滑な移行を図る方針です。

当社の成長戦略である中期経営計画を遂行することで、資本コストやROEを重視した経営を実現し、その成果としてPBRがさらに向上するように努め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

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